開発者メッセージ

開発者メッセージ

 オーディオ評論家・長岡鉄男氏によって発表された D-101 (呼称:スワン)は比類ない点音源バックロードホーンスピーカーとしてご存知の方も多いと思います。1986年の別冊FMfanのDIY記事として発表され瞬く間に一般のマニアに広まりました。

 きちんと作られたものであれば音場や音像の描写力において現在のハイエンド機でも敵うものは少なく愛用し続けているマニアの方もいます。

 当時、評論家の故・立花隆氏がその空間再生・低音再生に驚いて喧伝したのは語り草で、現在でもWeb上で作家の羽田圭介氏、2ch創始者のひろゆき氏、理論物理学者の佐治晴夫氏の部屋にスワンもしくはそのバリエーションが散見されます。

 しかし長岡氏も1999年に亡くなられnew ver.は期待出来ません。

 愛用者も細部に手を加えるか材質や装飾を工夫をするに留まり根本的に手をつける気配はありません。独特でありながら原理的にオーソドックスなスワンに進化の余地があるのかという思いもあり、ある意味スワンは完成された作品だったのかもしれません。

 ただそこに敢えて踏み込もうと開発したのがこのR-Swan(アール・スワン)です。

 改めて空気の動きを突き詰めることが重要ではないのか。スワンの動作原理の中に既に次代のオーディオのテーマが存在しているのではないのか。そのような思いを込めて長岡スワンへのリスペクトの具現としてR-Swanと名付けました。

 長岡氏が妥協したところ、目をつぶったところ、そして気付かなかったところに立ち戻ることでスワンをハイエンドスピーカーの領域に引き上げることを意図し、果たしてダイナミックでありながら極めて  静謐なバックロードホーンが誕生しました。

 姿形は元祖スワンと随分違ったフォルムになりましたが全ての意匠には理由があります。スワンの動作原理を忠実に反映させた姿なのです。

 ただ一つだけ原案者の意図に反したことがあります。コストパフォーマンスです。

 既存部材を前提に製作していますからむやみに高価な材料は使っていませんが、この作品は音のためには全く節約せずに製作しています。

 長岡氏は「コストパフォーマンス=CP」という言葉を使用し始めた張本人ですが、この点だけは氏に苦笑していただきたいと願っています。

 長年準備を進めて来ましたが2023年3月、スワンの最高峰を求める方に向けてR-Swanの受注製作を開始します。

 シリアルナンバー0000の初回製作のR-Swanを冥界の長岡鉄男氏へ捧げます。

 ‘R-Swan工房’ 代表 野田 直彦

ハイエンドオーディオスピーカー